10月7日から10月13日の間、大阪にある阪急百貨店うめだ本店でアストンマーティンDB5が展示された。
これは、同期間に阪急うめだ本店で開催された『英国フェア2020』の催しの一環として展開された「グローブ･トロッター」の期間限定ポップアップストアでの出来事だ。ちょうど大阪に居たのでお邪魔してきた。
(グローブトロッター公式サイト 阪急うめだ本店 英国フェア2020)

グローブトロッターは1897年(明治30年)創業の旅行用鞄等を作るイギリスの企業。007スカイフォールの劇中で使われた鞄を作成した事をきっかけに、スペクター、そして今作ノータイムトゥダイのコラボレーション製品を作成している。

今回発売されたのは、バルカンファイバーを使用した通常のグローブトロッターのモデルとカーボンファイバー製(700個限定)の2種類。いずれも好きな文字を刻印できる「グローブ・トロッター イニシャリングサービス」が3文字まで無料で利用できるので漢字を入れたら面白いと思ったけど、残念ながら英字に限られるようだ。（グローブ・トロッター イニシャリングサービスについての詳細ページ）
カーボンファイバーモデルの第一期分は完売していて、第二期のスケジュールは現時点で未定なようだ。価格はバルカンファイバーモデルが355,300円(19インチ)と399,300円(26インチ)、カーボンファイバーモデルが465,300円。

※バルカンファイバーとは

代用皮革の一種。木綿や化学パルプを塩化亜鉛の濃い溶液にひたして膠にかわ状にしたものを圧縮してつくる。ファイバー。(大辞林 第三版より)

写真で見るとなんとなくレザー仕立てのように見えるが、実は硬質な板紙でできているのだった。このバルカンファイバー(バルカナイズドファイバーとも言われる)の歴史は古く、1859年にイギリスで発明されたが、現在は日本やドイツで生産されたものが世界へ輸出されている。ちなみにグローブトロッターのバルカンファイバーは日本の北越東洋ファイバーが生産している様だ(参照：北越コーポレーションCSR通信2017秋冬号)。

大きな007のパネルと共に、ノー・タイム・トゥ・ダイ仕様の鞄が展示されていた。

そして主役アストンマーティンDB5が堂々と鎮座していた。初めて実物を見たけれども、意外と大きい。デパートの中という特殊な状況下だからそう見えるだけかもしれないが…。

No Time To Dieに登場するDB5はシルバーだが、ここにあるのはスーツケースと似た薄いグリーンだった。スーツケースに合わせてあえてこの色にしたのか、それとも用意できた車両がたまたまこの色だったかは不明だが、結果として色を合わせた演出になっている。ちなみにこのDB5にはナンバー封印があった為、ナンバー付きの車両と思われる。ドライブレコーダーも付いていた事を見ても、コレクションとして眠っているのではなくある程度走行する使われ方をしているのではないだろうか。それは私にとって嬉しい発見だった。

フロントフェンダーのグリルには「Vantage」のエンブレムがある。という事はこの車両は65台が生産されたDB5の高性能版であるDB5ヴァンテージだ。ヴァンテージのエンジン出力は驚くことに330馬力と現代の感覚で言っても十分に高出力と言える部類で、コスモスポーツや2000GTでさえ150馬力だった事を考えるといかにハイパワーな車両だったか分かるだろう。当時(1960年代前半)、300馬力台の車というと他にはフェラーリ・250GTO、ランボルギーニ・ミウラなどがあり、DB5ヴァンテージもこれらと肩を並べる存在だったのだろうか。凄い、アストンマーティン。

グローブトロッターはありとあらゆる素材を自由に選択できるビスポークも可能だ。(グローブトロッター公式サイト・ビスポークについて)

今回の大阪での催しは終了している。これから2021年の007新作公開に向けて他の地域でもアストンマーティンを絡めたイベントが開催されるかもしれないし、開催されてくれたらいいな。