ストロールによるアストンマーティン買収で何が変わるのか

ローレンス・ストロールによるアストンマーティン買収から約1ヶ月。結局アストンマーティンにどの様な変化をもたらした、いや、もたらすのだろうか。
様々な側面があるとは思うが、今回はロンドン証券取引所で公開されている資料を見てみようと思う。
ASTON MARTIN share news (AML) – London Stock Exchange

Aston Martin Lagonda – AML Issue of Equity
Released 07:00 31-Jan-2020

https://www.londonstockexchange.com/exchange/news/market-news/market-news-detail/AML/14405224.html
この発表から、一部を翻訳(Google翻訳を元に微修正)し抜粋する。

ローレンス・ストロールが率いるコンソーシアムによる1億8,200万ポンドの戦略的株式投資と、3億1,800万ポンドの主要株主が支援する権利発行を提案し、合算で5億ポンドの収益を上げる。運用および財務レビューにより、事業計画がリセットされる

アストンマーティンラゴンダは本日、流動性を必然的かつ即座に改善し、レバレッジを削減するためにバランスシートを強化する意向を発表しました。これは、2019年までの事業の失望した業績に続き、現在の高いレバレッジにより悪化した流動性に対する深刻な圧力が生じています。そのため、当社は、株主の承認を条件とする株式の主要な発行に関する以下の計画を確認しています。

・ローレンス・ストロールが率いるコンソーシアムによる1億8,200万ポンドの戦略的株式投資と、3億1,800万ポンドの主要株主が支援する権利発行を提案し、合算で5億ポンドの収益を上げる。
・ミッドエンジン車はアストンマーティンラゴンダの将来の中核となるから、この一環として、F1へのアプローチ強化が重要と考えている。
・レーシングポイントF1チームは2021年から10年間、アストンマーティンF1ワークスチームになる。
・契約には、2021年以降のスポンサーシップ契約も含まれている
・2020年のF1シーズンに向けて、アストンマーティンはRed Bull Racing F1 TMチームへのスポンサーシップを継続
・アストンマーティンラゴンダとレッドブルアドバンスドテクノロジーズの技術提携は、アストンマーティンヴァルキリーが引き渡されるまで継続される
・電気自動車への投資は2025年以降に延期される

悪化する業績に対しての今後の優先事項
・生産のコントロールにより、供給よりも需要を優先させ、より強力なオーダーブックを構築し、価格のポジショニングを取り戻す。
・第2四半期にDBXの立ち上げに成功しました。これは、非常に好意的なメディアレビューと、2019年11月のオープン以来急速に構築されている注文書を受け取りました。
・2020年春にロードスターを含むVantageを正常にリ・ローンチし、年内にアストンマーティンヴァルキリーの配送を開始した。

運用および財務レビュー
・2019年は、全ての車種においてヨーロッパとイギリスで予想よりも販売が弱かった。2018年末のサプライチェーンの混乱もあったが、ヴァンテージの売れ行きが悪く、ディーラーの在庫が増加した。
・12月に行われた増分マーケティングキャンペーン(特に米国)の組み合わせと、人員やその他の販売費及び一般管理費が貯蓄目標を下回ったため、コストが計画を上回りました。

今後の製品販売のタイミングの見直し
中期的な投資要件を管理し、キャッシュ生成を改善し、財務の安定性と柔軟性を高めるために、今後の製品発売のタイミングが見直された。

・2022年にヴァルハラが発表された後、アストンマーティンのミッドエンジンコアカー(ヴァンキッシュ)が公開される予定です。
・ハイブリッド機能を備えた低燃費のモジュラーV6エンジンの開発は継続されており、2020年代半ばからハイブリッドバリアントとして利用できるアストンマーティンのコアカーをサポートします。
・Lagondaブランドは2025年以前(2022年以前)に再開され、Rapide Eの開発はほぼ完了していますが、プログラムはレビューのため一時停止されました(以前は2020年に販売が開始される予定でした)。

ラピードE

2025年以降に先延ばしにされたEV、ラピードE

スペシャリティ・カーについて
・アストンマーティンヴァルキリーの生産は、2020年後半までに増加する見込みです。
・Goldfinger DB5 Continuationの配信は2020年に開始される予定で、DBS GT ZagatoはDBZ Centenary Collectionを完成させる予定です。
(Goldfinger DB5 Continuationのリリース)
(DBS GT Zagatoの日本語リリース)
・最近発表されたV12 Speedsterは、2021年第1四半期に開始される予定で、今年後半に発表されます。
・アストンマーティンヴァルキリーAMR Proは、まだ2021年に公開される予定です。
・ヴァルハラは2022年に発表される予定です。
・まだ明らかにされていない新しいスペシャルは、毎年1つのヘリテージ・スペシャルと2つのコンテンポラリー・スペシャルで構成されています。

DBS GT Zagato

DBS GT ZagatoはDB4 GT Zagato Continuationとセットで600万£


運営体制について
・再構築では、リセットプランを提供するために、販売、マーケティング、コミュニケーション、エンジニアリングの管理に変更が加えられる。
・2019年に実施された請負業者の大幅な削減、自発的な冗長性および早期退職プログラムに加えて、300人に加えて300人の新しい役割がセントアサン工場で作成される一方で、常勤および請負人の人員のバランスをとるために、現在サイトにいる従業員の追加の削減が行われます。
・資産の設置面積は、財務面および業務面での野心に見合った一般的な販売管理費の削減とともに削減されます。
・これらの変更により、年間費用1,000万ポンドが得られ、1回限りの費用の後、2020年に700万ポンドが提供され、セントアサンに新工場が開設されたことによる費用の増加をほぼ相殺します。
・製造コストの効率化は、改善されたサプライチェーン管理と継続的なデザインインイニシアチブによって実現されると予想されます。

以上、ポイントのみを取り出してみた。
どれも売れていない、特にヴァンテージが売れておらず、DBXが希望の星になっている。ヴァンテージロードスターも売れたら良いな。そんな雰囲気だろうか。
これを読んでいると、とにかくお金が無い。お金がない(なかった)。という印象を受けた。工場を新設したコストは業者の削減、早期退職、リストラ、販管費の削減といったコストカットによって帳消しにして(工場建設費をペイできるだけのコストカットってすごいね)、その後はどんどん利益を生み出すらしいけれど、そんなに上手くいくのだろうか。この文書にもあるけれど、結局、追加の株式融資をしなければならないほど苦境だったという事だ。アストンマーティンは。
私は企業経営や株式についての知識をあまり持っていないから、これらの考えには間違いがあるかもしれないし、知識ある人であればこの発表からもっと異なる見方ができるかもしれない。ソースとなる文書URLは記載してあるので、気になったらそちらも読んでみてほしい。

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