クラシックカーと旅に出る
Twitterをご覧の方はご存知だと思いますが、1週間ほど東北地方へツーリングへ行っていました。
顔ぶれは…ポルシェ904、ロータス エリーゼ、キャデラック ATSクーペの3台。彼らとはなんとなく毎年この時期にロングツーリングへ行くのが恒例になっていて、今回が三度目だった。
ポルシェ904はクラシックカーだ。それに比べればATSクーペはもちろんエリーゼでさえ近代的な車と言える。ABSは無い、トラクションコントロールも無い、パワーステアリングも無い、エアコンも、パワーウインドウも、オーディオも、遮音材も、断熱材も、おおよそ私達が普通に接する車には当たり前のように装備されているものがほとんど付いていない。
更に、904は所謂「キャブ車」だ。これは今では当たり前となっている「インジェクション」ではなく「キャブレター」という機構によって燃料噴射をコントロールしており、完調であれば問題ないものの、それでも気候に合わせてキャブレターを調整するのが望ましいというもののようだ。車についてあまり詳しくないから合ってるか分からないけど、とりあえず現代のエンジンとは仕組みが違う所がある。
雨だろうと晴れだろうと暑かろうと寒かろうと変わりなくエンジンが目覚め、そう調子が狂う事なく動いてくれるのが当たり前の現代の車の常識は、どうやら通用しないらしい。エンジンに限らず走り方に至るまで、ならではのものが必要になる。それもまたクラシックカーの味わいのひとつなのかもしれない。
レーシングカーであるポルシェ904は、快適に移動するための装備が何一つ無いためドライバーへの負担は相当なものらしく、こまめな休息が必要不可欠だった。何時間も運転し続けるなど相当の体力が無い限りは難しいようで、音と振動、そして熱が人間の体力をいかに奪うのかを教えてくれた。
こうして書くと、行程を組む上で何やら不便そうな旅に思えるかもしれないけれど、そんな事はない。何らかのルールや制約があるからこその楽しさというのがある。そして今の車というのがいかに便利で、楽で、快適なのかという事を実感させてくれる。今の車だけでは決して組まないであろうスケジュールは、新たな発見を沢山もたらしてくれた。
こうしてポルシェ904は、運転せずとも多くの経験を与えてくれたと思う。
ちなみに、ポルシェ904についてもう少し。
ポルシェ904は、「レースでポルシェと激戦を交わしたスカイライン」のエピソードで話題に上がる「ポルシェ」だ。
出典:Web CG「自動車ヒストリー 第81回:衝撃の日本グランプリ “スカイライン伝説”を生んだ熱い戦い」
そして「日本グランプリ――そして伝説へ(1964年)」には、904についてこんな記述がある。
“904は、ポルシェ初となるミドシップマシンである。公道でも走ることはできるが、もともとはGT2クラスのレースに参戦するために作られたモデルだ。”